口腔機能低下症とは?〜加齢に伴う口腔の衰えをチェックしよう〜
最近、食べ物を噛みにくい、むせることが増えた、飲み込みにくくなったと感じたことはありません
か?もしかすると、それは「口腔機能低下症」の兆候かもしれません。
口腔機能低下症とは、加齢により口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」などの機能が徐々
に低下していく状態を指します。皆さんが普段当たり前のように行なっている「食べる」という行為
は、単に歯で噛むことだけではなく、唾液の分泌や唇、頬、舌の協調運動、そして食べ物を感知し
て引き起こされる嚥下反射、それに伴う喉周りの筋肉の協調運動によって成り立っています。
加齢に伴って手足の筋肉が衰えることを実感されることがあるかと思いますが、実は「食べる」と
きに使う口周りの筋肉は、最も加齢の影響を受けやすい部位であり、その衰えを自覚しにくいの
が特徴です。口腔機能の低下により、特に高齢者の方々は、お肉などのタンパク質が不足し、太
ももの筋肉が衰えることで、普段は転ばないような場所で転倒しやすくなります。その結果、骨折
をして寝たきりになる方が増えているのが現状です。こうした悪循環が進むと、全身の筋力も衰え
ていきます。
老年歯科学会では、口腔機能の低下が顕在化する前に早期発見・早期介入を目指し、口腔機
能低下症という病名を提唱しました。現在、口腔機能低下症の検査は保険適用されており、50歳
以上の方であれば誰でも検査を受けることができます。この検査によって、口腔機能の状態を客
観的に数値化できるため、自分の現在の状態を把握し、今後の対策が立てやすくなります。
口腔機能低下症の検査では、7つの項目をチェックし、そのうち3つ以上に該当すると「口腔機能
低下症」と診断されます。検査は決して辛いものではなく、約30分以内で終了しますので、50歳以上の方にはぜひ受けていただたくことをおすすめします。

